仙台市・陸前高田市へ震災ガレキ処理の実情調査報告       



去年7月に津波被害状況について、岩手県内被害自治体の実情調査を現地議員のお世話で実施していますが
その時の目的は、近い将来(明日かも)発生するであろう南海・東南海地震による津波被害を最小限に治めるた
めのヒントを得るために、被害自治体の実情と被害者救済・復旧への取組みを学ぶことを主眼としたものでありました。

今回は、宮城県内と岩手県内の総量2000万トンとも云われる震災ガレキの約2割、400万トンを全国の自治体に分散
焼却処理することを政府が求め、各自治体で受け入れ焼却処理することについて様々な物議を醸しています。

放射能の付着した震災ガレキを焼却処分すれば、焼却灰中に30倍に濃縮した形で放射性廃棄物焼却灰が残る。これの安全な処分
や焼却過程で環境へ排出される放射性物質により市民の健康にどの様な悪影響が発生するのかが、悩ましい課題であります。

いずれ堺市議会でも論議課題になる事を認識し、仙台方式と云われている内容と被害の大きかった陸前高田市を視察調査しました。

宮城県仙台市仮設焼却炉視察

仙台方式とは何か・・・

仙台市域の中心部は津波被害から免れ、海岸に近いエリア(仙台空港含む)が5~7メートルくらいの津波被災に遭われたものと思います。
(被災住居の残存家屋が少しその儘になっていた状況からの推定です。)
3月11日の津波被災後、宮城県知事が3年で復旧・復興をしたい旨、表明されたそうです。その発言を受け、仙台市の担当局長が市長に
速やかに仮設焼却炉の建設に踏み切り、膨大な可燃ガレキを処理すべきと強力な進言をされたそうです。通常ですと環境アセスメント調査など
して早くても2~3年の期間を要するそうですが、国の正式許可を受けてやると云うことを考えていては目前に横たわる課題処理ができない。
今は、前代未聞の緊急時態であるとして市長決断で仮設焼却炉建設に踏み切ったそうです。90トン炉が2基、300トン炉が1基建設され
仙台市内で発生した可燃性震災ガレキは殆ど処理終了し今後は仙台市以外の震災ガレキを受け入れ処理するそうです。

この方式を仙台方式と総称しています。必要な経費補助は後からできるとの政治家としての見事な判断があって出来たものです。
事実、その後に経費の100%補助されたとのことです。
因みに90トン炉1基で建設費約20億円、300トン炉で1基建設費約30億円とのことです。
建設に要する必要な期間は4か月~5か月程度とのことです。

震災廃棄物とは何か

仙台市の場合    市処理分  可燃物   プラ・粗大ごみ 7万4000トン
                            木くず・流木   24万4000トン         小計 31万トン
  
                            不燃物   金属         1万9000トン
                                   粗大等        3万4000トン
                                   コンクリート等   60万8000トン
                                   瓦・ボード等     5万8000トン
     
            自動車      1万トン
            公共施設   31万トン                             総計 135万トン

           その他に 津波堆積物 130万トン・・・・現在、搬入場にて一時保管し、有効活用を検討中。

11種類に分別された震災廃棄物類


コンクリート類              防塵マスク着用必須!!      枝の無い所まで津波被災   仮設焼却炉 90トン/日
                                                                90トン炉2基、300トン炉1基建設稼働中

この可燃物量で90トン分       バグフィルターで除却した焼却灰


岩手県陸前高田市の視察

この度の視察では、辻恵(大阪17区)議員のお世話にて階猛衆議院議員や黄川田徹衆議院議員の
ご尽力にて視察や意見交換会が実現できたものです。大変お世話になりましたこと御礼申し上げます。

陸前高田市は、3月11日の津波被害により市域中心部全てが被害流失された。
市役所・NTT局舎等の町としての施設すべてと、その機能を失う甚大な被害に遭われました。
この度、視察して今日の課題等、又、民主系議員団の方々と直接お話しや意見交換を
させて戴きまして有意義な視察となりました。
現在、町の中心部を再び住居エリアとして再生するのではなく、公共施設や震災プレミアム
公園等の都市施設エリアゾーンとして復興計画が検討されていました。

市民の住居エリアは近くの丘陵地を整備
し、大きな津波が押し寄せてきても人命が守れる様に
移転計画が検討されていました。

可燃震災廃棄物は全て太平洋セメント大船渡工場でセメント製造に必要な燃料と
して利用されています。陸前高田市の可燃震災廃棄物はすべてこの工場で処理できる模様です。

心配した放射性廃棄物の量では陸前高田市内の沼田地区仮置き場(2次選別場)での測定に
よると可燃物の周囲と可燃物中央での測定値として地上5センチで0.11~0.19μ㏜/h。
.地上50センチで0.10μ~0.19μ㏜/h。地上1メートルで0.08~0.20μ㏜/hが4月6日測定されています。
この数値をどの様に読み解くのが、正しい判断であるのか残念ながら私には知識がありません。

しかし、放射線量よりも重大なことは、岩手県内の津波被災ガレキを県外に搬出し焼却処理しなければ
ならない状況ではないと云うことです。被災当初は政府もパニック状態?であったかは解りませんが
現在では各自治体の自力で処理が進んでいるものと感じました。

人口規模の小さな自治体での進捗は解りませんが、そのような自治体は独自で完全処理を目指すの
ではなく、岩手県が全面に出て岩手県立の必要な規模の仮設焼却炉を建設し地元雇用を推進する方が
時間的にも投入される税金面でも効率性が高いものと考えます。

仄聞する情報では他県まで搬出し焼却するとトン当たり8万円以上するのではと云われています。
単純計算すると震災ガレキ総量の20%400万トンを他県に要請しているので4000億円を超える財源が
必要となります。これらの予算が地元被災自治体の復旧・復興に廻される方がベストではないでしょうか?

堺市も国から要請されている自治体でもありますので、その辺を十分調査し岩手県にも具体的な対処策を
進言する必要があるものと思います。訪問市の議員団にもその考えを伝えたことは申し上げるまでも
ありません。


仮庁舎前にて              更地となった広大な市街地エリア。写真は一部であり、360度この様な風景です。                                 
                       奥の土山は津波堆積物など。この様な積み上げた山は3か所ある。



旧庁舎玄関の慰霊壇         ネットの奥は2次選別場        民主系地元議員団との意見交換模様